『技術を活かす経営』の5つのキーワード

(以下の内容は、いずれも西口泰夫著『技術を活かす経営』(2009年 白桃書房)からの引用です)

経営戦略と技術戦略の一体化

「情報化時代に求められるビジネスの競争条件の多様性・変化等に企業が対応するためには、経営戦略と技術戦略の一体化が重要である。(中略)企業が持続的成長を目指すためには明確な経営戦略と技術戦略を、経営部門と技術部門が一体となって企画し、その実行にあたることが重要である。」

オープン・イノベーション

「情報化時代において市場ニーズを捉えた商品をタイムリーに市場に投入するためには、研究・開発の成果である技術をタイムリーに獲得することが必須である。これには、必要とする技術を自社内のみに限らず、外部からも得ることができるイノベーション・プロセスのオープン化が重要な要因である。企業の技術経営は研究開発のみならず生産・販売・サービスまでの全てのビジネス・プロセスにおいてオープン・イノベーションを実現することが基本である。」

市場ニーズの的確な把握

「企業は情報化時代においては、産業化時代に比べ大規模、かつ多様化するグローバル市場のニーズを的確に先読みすることを行わなければならない。さらに、企業は把握した市場ニーズの実現に不可欠な革新的技術を獲得するために技術開発を先行させ、その後にタイムリーにこのニーズを反映した商品を市場投入することが持続的な経営を行う上で重要である。」

知識経営(人・組織の持つ知識の共有化と活用)

「産業化時代においては付加価値の源泉は工場設備及びその稼働を行っている製造部門の労働者が中心であったが、情報化時代には付加価値は製品を媒介にした問題解決(ソリューション)・サービス・情報提供、あるいはそれを組み込んだ新たな生産プロセスに重心が移行している。つまり、人や組織が作りだす知識、そしてそれらの知識資産が価値の源泉となっている。この情報化時代において企業が収益向上を図るには、企業内外を問わず人・組織が持つ潜在的知識をも顕在化し、その共有・活用による組織綜合力の具現化を可能とする技術経営を必要とする。」

人・組織の有機的活用

「企業は機能性組織及び事業部制に見られる分業体制による効率追求を行っている。一方、この体制では、分業の徹底による効率化というメリットはあるものの、集団の綜合力の創出の面からは、主に人・組織がもつセクショナリズム及びその間のコミュニケーション・ロスによるデメリットがあることも明らかになった。情報化時代においては、技術経営に求められる多様性・変化に対応するには、人・組織のもつあらゆる能力の効率的な綜合化が必要である。」