次に、世界各国の債務の状況と比較をしてみます。下のグラフはG7諸国の債務残高の推移を各国のGDP比で示しています。このグラフには、参考のためにギリシャについても記載しています。

図表1-17 各国(G7+ギリシャ)の債務残高(GDP比)

https://www.imf.org/en/Publications/WEO/weo-database/2020/October より作成

 これを見ると、2019年の日本の債務残高はGDP比で約240%で、世界No.1です。G7 の多くの国々は、GDPに対して100%前後の債務残高があり、これが平均的な姿だと言えます。また、200910月頃からデフォルト(債務不履行)騒ぎが起こったギリシャでもGDP比で180%程度です。

 このように世界各国との比較において、日本の債務残高が異常に多いことを確認できました。単年度では歳入の40%程度を公債に依存しており、過去からの債務の残高は、GDP比で約240%(2.4年分のGDP)の債務残高を抱えています。繰り返しになりますが、まさに日本は「借金国家」、むしろ「超借金国家」なのです。これを国民一人当りの借金として換算すると、約1,000万円になるというレベルです。

 ここまで、政府の債務の状況を見てきました。これをまとめると、以下のようになります。

  • 現在の日本は世界一の債務国家(借金国家?)と言っても過言ではない。
  • かつて、ギリシャの債務が世界的な問題となりました。日本の債務のGDP比はギリシャ以上で、両国のGDPの大きさを考慮すると日本の債務額はその比ではありません。ただ、ギリシャの債務の多くは他の国が保有していたのに対して、日本の債務はその殆どを国内で保有しています。そのため、世界的な問題とはなっていません。
  • この債務については、さまざまな意見があります。これで問題は無いという意見もあれば、財政規律の面からは、いまは異様な状態であるとの意見もあります。
  • いずれにしても、現在の日本は国家運営を税収だけでは賄えないということは事実です。

 

 この厳しい現実を直視して、どのように対応すべきかを真剣に考える時に来ているのではないでしょうか?

第1章 4.国際競争力に続く(作成中)

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