「利は元(もと)に在り」を思う>     鈴木洋三

 

 

あけましておめでとうございます。早いモノで今年の4月でSOLEも創業5年と成ります。今日までのご支援に心から感謝申し上げると共に、これからの5年間、スタッフ一同気持ちも新たに精進致したく変わらぬご支援を宜しくお願い申し上げます。

 

今年は、常に筆者が反芻(はんすう)し考え続けている「利は元に在り」の心を、過去現在と付き合ってきた経営者の言葉から自己流解釈でご紹介したいと思います。

 

現役時代の解釈

「利は元に在り」との格言は昔からあったようですが、筆者には松下幸之助翁の言葉として初めて耳に入って来ました。最初の理解は、利益は上手な仕入れから生まれる、というすこぶる単純な理解で、上手な仕入れとは良い品を出来るだけ有利に適正な値段で買うというモノです。では、出来るだけ有利に買うにはどうしたら良いのか、これを最初に教えてくれたのが現役時代の会社のオーナー社長で、筆者の課長登用試験の面接の時でした。彼はGive and Takeと云いました。先ず相手の立場に立って自分として何が出来るかを考えなさい。自分が貰う事を先に考えてはいけない・・。今、この言葉が自分の「軸」と成る“Nice Communicatorたれ”の原点だったと思う次第です。

 

第2の人生で教えて頂いた新たな解釈

上述の出来事から35年ほど時間が経過し、「利は元に在り」の違った気づきを教えてくれたのが4年前、梱包関連の仕事をしている中小企業(社員数30名程度)の社長さんでした。彼曰く、我々中小企業にとって、1億円の設備投資は清水の舞台から飛び降りる様に採算、タイミング等を必死で検討するのに、新入社員の採用にはそれ以上のお金と時間を掛けないのは経営者としておかしい。彼はこうも言いました。会社の利益を稼いでくれるのは社員だが、その社員1の採用は生涯コスト4億円以上かも知れない。新入社員の歩留まり程、経営に直結するものは無いと力説してくれました。 

それから今日まで、急速に伸びている会社、利益率の高い会社、活気のある会社を注意して見ていると、人の採用、教育に経営者が多くの時間とお金を掛けている共通点が在るように感じるのです。

 

昨年末の新たな気づき

昨年の暮れ中小企業の若手社長が集まる忘年会で「利は元に在り」の別の違った気づきを教えてくれた社長が居ました。彼の会社は高電圧電源装置を作る従業員数十人の中小企業です。彼の会社には3年前くらいに前に訪問していますが、その時に比べ従業員の数もスペースも倍以上に大きく成って居ました。彼の熱き想いで開発して来た特殊電源装置がやっと(足掛け7年)市場のニーズをとらえ離陸し出したとの事です。出荷に追われ残業に次ぐ残業でもうヘトヘトだよ、という割には従業員の皆さんの目は輝いているように見え、また、それもこの忙しさの中で殆ど辞めていないとのことでした。

彼の説明は以下の通りでした。

「『うちの会社はブラック企業だからやりたい奴だけ来てください』と云って募集している、安い給料、多い残業は承知の上」と半分冗談交じりに話した後、「しかし技術的には最先端の技術にチャレンジしそれをモノにして行く喜びを感じている様だ」と。

これを、筆者流に分析すると、①経営者としてのブレナイ軸、②率先垂範の姿勢、③Never give up でいつも前向き明るい、この魅力が従業員を引きつけて離さない。部下は上司の背中を見て教えられ成長している。

 

元(もと)に在りということ

お客様は神様です、という言葉が在ります。お客様(上流)から見ると仕入れ先も社員も元(下流)に在ります。「利は元に在り」の意味の深さはお分かり頂けたと思います。更には、戦後の日本を支えた多くのモノ作りベンチャー企業の逞しさに思いを馳せると、企業のリーダーは絶えず成長し続けなければいけない、一方で、企業はTOPの力量で決まる。すなわち「利は元に在り」という格言の「元」の意味する処、それは自分(社長)自身だ。という事に行きついた次第です。

 

新年のメルマガを書きながら、この5年間コンサルとして伝えた事より教えて頂いた方が多いのでは無いかと思えて来ました。少しでも恩返しが出来る様これからも精進を続けますのでご支援をよろしくお願い致します。